3月3日はひな祭り。ご家庭や園で雛人形を飾るところも多いのではないでしょうか。
今回はそんな雛人形にまつわる豆知識を紹介したいと思います。
有名な歌【うれしいひなまつり】の意外な秘密も併せて紹介しています。
ということで、今回の記事は、「毎年園で飾ってるけど、雛人形って誰なの?」と感じている方等、雛人形について深く知りたい方に向けて書かれています。
内容は以下の通りです。よろしければぜひ、最後までお楽しみください。
①男雛と女雛(お内裏様とお雛様)
・お内裏様とお雛様って何者?
まずは最上段の二人からいってみたいと思います。
さて、よく言われるお内裏様とお雛様、この二人はいったい誰なのか、ご存じですか?
正解は、天皇様と皇后様です。
雛人形は、平安時代の結婚式の様子を表しています。
したがって、多段飾りの場合に雛人形の下段に一緒に飾られる道具の数々は、皇后様の嫁入り道具です。
・【うれしいひなまつり】の秘密①~お内裏様とお雛様~
もう一つ言うと、実はお内裏様とお雛様という表現には間違いがあります。
本来、内裏とは宮中における天皇様の私的空間のことを指します。
したがってお内裏様という言葉は、そこに住む方、つまりお殿様とお姫様二人を指すことになります。
他にも同じような方がいるのではないかと思うのですが、私はお内裏様は最上段の男の人のことだと信じきっていたので、ちょっと衝撃でした。
この間違いについては、【うれしいひなまつり】の歌詞の「おだいりさまとおひなさま」という表現に起因するところが大きいのではないかと思います。
で、この歌詞に出てくる「おだいりとおひなさま」という表現ですが、実は、作詞されたサトウハチローさんの間違いというか、勘違いであると言われています。
ただ、ここまで「うれしいひなまつり」がポピュラーになり歌い継がれてきている中で、
この二人はお殿様とお姫様だよ。と言ってもなかなか子どもたちには伝わりづらいところがあるかもしれませんね。
最上段の二人は「男雛」と「女雛」と伝えるのが実は一番無難かもしれません。
②三人官女
・三人官女、実は1人だけ眉毛がない⁉︎
雛飾りでは二段目に飾られることが多い三人官女。じつは、三人官女は、真ん中の女性だけ既婚女性で、見た目が他の2人とは少し異なります。具体的には、お歯黒をしており、また眉毛も剃り落としています。これらは当時の既婚女性の目印のようなものでした。
眉毛がなくてお歯黒をしている真ん中の女性は、既婚者であり、一番年長者のリーダー的存在となります。
・三人官女の役割は?
三人官女の役割は、お殿様(お内裏様)とお姫様(お雛様)に結婚のお祝いの祝杯を作ることです。
具体的には、向かって右側の女性の提子(ひさげ…ヤカンのようなもの)に入れた白酒を、向かって左側の女性の長柄(ながえ…持ち手の長いもの)に移し替え、そこから真ん中の女性の持つ三宝に載せた盃に注いで祝杯を作っていたとされています。
儀式的な意味合いはあるのでしょうが、ちょっとめんどくさそうですね。
※モノによっては真ん中の女性だけ立っていたり、みんなお歯黒をしていたり、盃ではなく島台というものを持っていたりといろいろなバリエーションが存在します。
③五人囃子
雛飾りの三段目に飾られることが多く、様々な楽器をや道具を持った5人の若者が五人囃子です。
持ち物は左から順に、太鼓(たいこ)・大皮鼓(おおかわつづみ)・小鼓(こつづみ)・笛(ふえ)・扇(おうぎ)となっており、左の4人が楽器を奏で、右の一人が謡(うたい)ということで謡い手となっています。
ちなみにこの五人囃子の立ち位置である三段目は、能楽の囃子(はやし)ではなく雅楽の楽人(がくじん)であるパターンもあります。
五人囃子ではなく、五楽人のパターンですね。
囃子と楽人の分かりやすい見分け方としては楽人の場合に真ん中に配置される大きな火焔太鼓の存在があります。
ちなみに、本来は宮廷で演奏されるは能楽ではなく雅楽なので楽人の方が正式なのですが、江戸時代に能楽が広まるにつれ、五人囃子が広く知れ渡り、雛飾りにも五人囃子が飾られるというのが定着していったようです。
私は実物は見たことはないですが、五楽人のみでなく、七人の七楽人のパターンもあるようです。
人形では、五人囃子は元服前の若者の姿、楽人は元服後の成人男性として表されていることが多いということです。
④右大臣と左大臣
・右大臣と左大臣、どっちがどっち?
飾りによっては登場したりしなかったりする右大臣と左大臣ですが、【うれしいひなまつり】の歌にも登場するのでご存じの方が多いのではないでしょうか。
さて、この右大臣と左大臣、どっちがどっちだかご存じですか?
先に正解を言うと、右大臣が、向かって左側で、左大臣が、向かって右側です。
お殿様から見てどっちかっていうことのようです。
それだけ聞いても右大臣がどっちの人か分からないですって?
そうですよね、私も調べるまで分かりませんでした。
右大臣は、若いお兄さんの方です。
え?赤いお顔の人が右大臣じゃないの?お爺さん、赤い顔してるよ?と思ったそこのあなた、そうなんですよ。
・【うれしいひなまつり】の秘密②~右大臣と左大臣~
どういうことかというと、こちらも実は上記のお内裏様問題と同様【うれしいひなまつり】の歌詞が間違っているのだそうです。
衝撃ですね。
作詞の際に右大臣と左大臣、どっちがどっちか分からなくなって間違えちゃったんですかね。
まあその気持ち、分からなくはないですが。
作詞されたサトウハチローさんは、後になってから上記のお内裏様の件も含め、歌詞の間違いに気づき、それからはあまりこの歌のことは聴いたり話したりしたがらなかったもいうことです。
ちなみに、左大臣のお爺さんの赤いお顔は酒を飲んでいるわけでもないということです。
お爺さん感をより出すための赤ら顔なんだとか。
ということで、もう一度整理します。
・赤いお顔のお爺さんが左大臣で、向かって右側。
・若いお兄さんが右大臣で、向かって左側。
ということになります。
・右大臣と左大臣、どっちが偉い?
右大臣と左大臣では、左大臣の方が偉いです。
年齢的にも偉そうですよね。
実は服の色にもその階級の差が現れており、黒い服の方が赤い服よりも上位の階級に当たります。
ちなみに、雛飾りの右大臣と左大臣、正式名称は随身(ずいしん)と言って、ボディガード的な役割をしていたとか。
右大臣は力を司る立場、左大臣は知恵を司る立場なのだそうです。
⑤仕丁(しちょう)
雛飾りの人形の中で一番下段に位置する3人が仕丁(しちょう)です。
この3人、実は宮廷の人間ではなく、庶民の中から徭役(ようえき…現在でいうところも税制度のようなもの)で、無報酬で働かされているという立場なのだそうです。
そんな3人の表情には、実は面白い秘密があります。
左から順に怒っている→泣いている→笑っているという表情になっているのです。
その三者三様の表情から、「三人上戸」とも呼ばれています。
これには、庶民ならではの表情豊かな感情が表されているとともに、子どもたちに感情豊かな子に育ってほしいという願いも込められているのだそうです。
それにしても、この三人、なかなか辛い境遇だなぁと感じるのは私だけではないはずです。
ただ働きさせられてたら、そりゃ泣いたり怒ったりもしますよね。と、ちょっぴりかわいそうになってしまいます。
そんな中でも笑っていられる右の彼はさぞかし素晴らしい人格者なのではないかと勝手に想像を逞しくしてしまいました。
あ、話がそれましたね。
ちなみにこの3人、持ち物については、様々あるようですが、外出用具…台笠(だいがさ)・沓台(くつだい)・立傘(たてがさ)や掃除用具…ほうき・ちりとり・熊手等を持っているものが多いようです。
⑥番外編
ここでは、上に紹介したほかにも、今回調べていて発見したことについて紹介したいと思います。
・特別ゲストが登場するパターンがある
雛人形の登場人物たちを紹介しましたが、実はこのほかにも特別ゲストが登場している雛人形が存在します。
①三賢人(小野小町・清少納言・紫式部)
②鶴と亀(能の演者)
③三歌人(小野小町・柿本人麻呂・菅原道真)
などのパターンです。
賢く美しく育ってほしいという願いや、健康長寿への願い、賢く育ってほしいという願いなどが込められているということです。
私自身は三歌人のものだけは見たことがあります。
びっくりして思わず写真を撮りました(笑)
そしてこの人たちは誰なんだろうと調べてみた結果が上のようなものです。
そんなに数は多くないと思われますので、見つけた人はラッキーですね。
・左右逆の場合がある
全国的には向かって男雛が左、女雛が右というものが多いのですが、地域によっては逆になっていることもあるようです。
いずれの場合でも行事や何かの折に、逆になっていることもあるということを子どもたちに知らせてあげられるとよいですね。
・吊るし雛について
紐につるして飾る雛飾り、ご存じですか?
吊るして飾るので名前はそのまま吊るし雛といいます。
ここで少し吊るし雛についても触れてみたいと思います。
吊るし雛は、雛人形同様、江戸時代生まれたと言われています。
当時、雛人形は高級品で、庶民には手が届かないものでした。
そんな庶民の家庭で、雛人形の代わりとして飾られたのが吊るし雛です。
家族、親戚、ご近所さん等がひと針ひと針、心を込めて縫った人形を持ち寄って飾ったというところから始まったということです。
そんな吊るし雛ですが、雛人形を模したもののみならず、人形の種類は100以上あると言われており、実際に見てみると実に色鮮やかでカラフルで華やかです。
人の形をしたものの他にも、病気や災いが 「去る」ようにと願いが込められた猿、百歳(ももとせ)まで生きられるようにと願いが込められた桃、他にも犬や花や猪、鳩、いちご等、実に様々ですが、どれも子どもの健やかな成長と幸せを願う親の愛情が込められています。
⑦終わりに
ひな祭りに使えるパネルシアターを販売しています。
それぞれの商品には、この記事のような豆知識が書かれたおまけも付属しています。
よろしければぜひ、ご覧になってみてください。
ということで、今回はひな祭りにまつわる、保育に使える豆知識でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。